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中高生の環境教育 〜社会と関わり、地域を支える〜 ⑨


 岸さんは現代のそのような状況で子どもと大地・自然をつなげることの難しさを以下のように語っておられます。(100年先の自然へのまなざし(ブログ本文)より) 


「小学校4年生まで自然観察会でヒーローだった子が、5年生でサッカーチームに入るともう二度と自然体験の世界に戻ってこない、「サッカーも得意で、自然観察会でも活躍する子を育てるにはいったいどうしたらいいのか」。それは本当に難しい。 


思春期の子どもを大地とつながる方法のひとつは、自己肯定感、大地とつながった自分を、大切な自分の歴史として、肯定的に自覚する、自覚させる、様々な工夫がほしいですね。

ひとつは幸せの二刀流をはげますことだと思います。


ある側面では「生きもの大好きな自分」もう1面では「スポーツをする学校での自分」両方を、同時共存させる工夫がほしいです。」 岸さんが述べているように今の日本の思春期=中学生・高校生はどうでしょうか。川のゴミ拾いに参加する、子どもたちをつれて野外にでる、生きものの研究をする中高生は多数派ではないのが現状です。


中学生になるとたいてい運動系のクラブ活動に入り、クラブ活動が終わると塾にいって勉強、学校の提出物、、、などなど。

自然や生きものが好きなことが認められることはほとんどありません。

アメリカでも似た状況であるとソベルは述べています。 


「思春期の初めから、生徒たちが社会から隔離されてしまうのはアメリカ中の学校が抱える問題だ。私たちは子どもに新たな責任を与えずに、学校の中に縛り付け、将来の大人としての生活のためだといって子どもたちを教育する。」

 そのような状況の中高生を自然とつながる環境教育とはどのようなものなのでしょうか。中高生の環境教育としてソベルは以下のように主張します。 


「社会とつながる活動は12歳の頃にはじまり、15歳を過ぎると一般的になる。8歳〜11歳の子どもは、森や公園や川などで遊ぶことが楽しく感じ、どんどん探検をはじめるが、思春期になるとそれらからは遠のき、繁華街へと繰り出すようになる。 思春期の自我にめざめ、社会とのつながりを感じるようになるのです。そのような社会とのつながりを感じはじめた頃に、自分が育った場所は足もとの自然と経験的に感じている子どもの中には自然や育った場所を良くするようにしたい、そのような取り組みの役にたちたいと思うのではないでだろうか。 そこで、自分たちでコントロールできる範囲、例えば学校でのリサイクルプログラムの運営、学校行事として探検計画を立てることや、さらに発展して町の議会の条例づくりへ関わっていくこと、公聴会での意見を述べることなど、すべてこの時期にぴったりの活動である。 地域社会に貢献するような環境プロジェクトは、生徒たちにとって学校のカリキュラムで学んだことを活かす場として機能し、地域社会の組織としても若い力が吹き込まれ、組織が若返ることが期待される。」


つまり、思春期には社会的な責任をもちはじめ、社会での一定の役割を演じるようになります。

思春期のあふれるエネルギーや、子どもが新たに身につけた知的な力や、複雑さを理解する能力などをうまく地域社会や足もとの自然と関わる取り組みへつながることで、子ども自身の人生に意味を与えるものにつながります。