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8歳からの環境教育〜「探検!」で大地の広さ・生きものとつながる〜 ⑦


ソベルは以下のように主張します。

(「足もとの自然から始めよう」より) 

「子どもは自然界の中で、まずは夢中になること、独りになること、交流することなどを望むのだ。この時期に、身近でない生態系や環境問題の学習を彼らに要求するのは、活力の源泉となるランドスケープから子どもたちを引きはがすことになってしまう。 我々はむしろ彼らがもっと身近な場所の植物、動物相の知識に興味をもつようにしてみるべきだろう。学校の裏の林、身近な道や商店街などが出発点だ。自分の家と学校の間、通学路やそれら周辺から探検をはじめ、徐々に行動の範囲は広がっていく。そして、秘密基地をつくり、小さな自分たちだけの世界を作り出す、宝探し、川や道をたどる大冒険へ発展する。 そして、環境活動は関わっていく姿勢というものは、まず自分で管理できる狭い場所での、生の経験からうまれる。つまり、そのスタートは秘密基地や自分にとっての特別な場所なのだ。そして、教師やそれを見守る大人に保障された独立と自治の下における、秘密基地への深い愛着が、その場所を守ろうとする責任と献身の価値観を育てる基盤となっているのではないだろうか。 こうした考え方を環境教育の方針に反映してゆくには、いったいどうすればいいのだろう? 私が提案したいのは小中学校の時期の環境教育に三つのステージを設けることだ。子ども期初期には自然界に共感しようとする発達的な傾向を励ますことを主眼とし、子ども期中期には探検することを優先させ、思春期の初期には社会的な活動が中心的な役割を担う。」 


 8歳から11歳にかけて、子どもたちの地図は急速に広がり、探検でさらに広がっていきます。

家の重要さは小さくなり、探検する大地の重要性が高まります。好奇心と行動範囲の拡大によって、やがて自分にとっての大事な場所、秘密の場所=秘密基地や隠れ家がみられるようになります。


こうした子ども時代の特別な場所は、8歳から11歳の多くの子どもたちにとって自然や生きものとつながる重要な場所となります。子どもたちは都会でも、郊外でも、田舎でもそれぞれのランドスケープの中に隠れ家を見つけ、作り出すのです。 

つまり、自然や生きものへの共感からはじまり、やがて、共感から自然や生きものへの好奇心へ発展し、好奇心をもとに様々な場所へ探検をはじめます。その探検を通して、自然の広がりを実感し、自分の中でお気に入りの場所、特別な場所を見つけ、そこを自分たちで管理し、運営する特別な経験を通して、自然との関わり方などを感覚的に身につけるのです。

 それら年代の子どもについて岸さんは以下のように実践を通して感じられたことを述べられています。

(100年先の自然へのまなざし(ブログ本文)より) 

「子どもたちは、小学校の2~3年生くらいから秘密基地をつくりはじめます。秘密基地をつくれる場所はマンションの端っこやいろいろな場所。

でも、その場所をできるだけ自然の場所にしてあげることができたら自然とつながって良いですよね。 それで、4年生とか5年生くらいになると仲の良い子どもたちで大探検をします。

そこで地球とつながるように町や都市の構造自体を工夫したい。 

ゲームの中の世界の大探検ではなくて、現実世界の大探検に誘導してあげるんですね。例えば、私が活動する鶴見川流域では、流域全域に散在する市民活動の拠点や、行政・企業の環境拠点を、スタンプラリーで巡れるような工夫を進ています。

テレビゲームやゲームセンターのモニターの世界や、競技スポーツのフィールドが自分の居場所だと感じるだけではなく、自然の中に安全で楽しい大探検できる場所をつくれるよう、そもそも地域をデザインする必要があるんですね。

採集狩猟にめざめる10歳前後、秘密基地や大探検で、生きてゆく世界の配置やチームワークを学ぶ4~12歳。それぞれの年代の、潜在的な興味、学習傾向をしっかり活かした自然学習すすめる必要があるのだろうと思いますね。

また、5年生くらいになると感情と行動を分けることができるようになる。理屈を駆使する教育は、その頃からでいいのではないかな。」


 自ら屋外を探検し、仲間と秘密基地をつくる経験や、そこが特別な場所になったという経験をもっている方は多いのではないでしょうか。