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4〜7歳頃 〜生きものへの共感からはじめよう〜 ⑥


ソベルは以下のように主張します。(「足もとの自然から始めよう」より)

 「子どもたちが自然の中へ出歩くようになったら、そこにすむ生きものたちへの感情を励ましたい。子ども期初期の特徴は、自己と他者をはっきり区別しないことにある。子どもたちは、抗しがたく動物の赤ちゃんに興味を抱く。誰かが膝をすりむくと、自分も痛みを感じたりする。この共感を無理に引き裂こうとせず、むしろ育んでいこう。 なぜなら、この共感は将来、すべてのものがすべてのものと関係があるという抽象的な生態学の概念にとって、感情面での土台となるものなのだから。 物語、歌い、動物のまねをして遊び、季節の喜びにひたり……、そう、レイチェル•カーソンのいうセンス•オブ•ワンダーを育てること、これこそがこのステージにある子どもたちにとって最も大事なことだろう。」 

4〜7歳の子どもはまさに自分と生きものは同じ種類の友達関係を築きます。チョウチョさん イモムシさん バッタさん ワンワン などすべて自分のお友達となります。そして、バッタさんのまねやワンワンのまねなど、その生きものになりきることも良くあるのではないでしょうか。


つまり、「これはイモムシ、成虫になると蝶になる」などの頭での理解ではなく、共感で生きものとつながるのです。ソベルはそのような共感でつながる世代の子どもには環境危機や絶滅危惧種を伝えるのではなく、イモムシさんかわいいね、この花は素敵だねという感じで共感を支援することが大事であると述べています。 

足もとの自然からはじめようを日本語に訳し、自身も環境教育を実践する慶應義塾大学名誉教授の岸由二さんは、「共感で自然とつながる世代の子ども」に大人ができることについてエピソードを交えながらは以下のように述べています。(100年先の自然へのまなざし(ブログ本文)より) 

「幼児の時期は「かわいい」「素敵」「おもしろい」「大好き」等の気持ちで自然と関わるのが基本。それを思いきり励ましましょう。

そのような子どもがダンゴムシやチョウチョに感動する気持ちを否定せずに、いっしょに感動することがとても大切なんですね。幼児の頃の子どもには、子どもの自然への感動を肯定していればいいということかもしれません。

幼児が虫をみておもしろがっていたり、植物をみておもしろがっていたりしているとき、特別なことはいりません。「いいね」「かわいいね」「きれいだね」と「あいづち」をうち、子どもの生きものに対する感動を肯定してあげることが、何よりものこの時期の環境教育なのです。


それは実は、レイチェル・カーソンの主張でもありますね。 余談ですが、子育て世代のお父さん お母さんはとってもおもしろいんですね。イモムシとか、ザリガニとかに触る学習を幼稚園で実施すると、汚いから触らせない、とかいう親は非常に少ないんですね。逆に、自分の子どもが触れないと、多くの親は心配になる人がいるほどです。周りの子は触れているのにどうして自分の子は触れないのかと不安になるようなんですね。この時、子育てをしている親、とくに母親の中では、もしかすると子育ての本能が動いていて、子どもに、生きもの学習をつい本能的に促している、なんてことがあるかもしれないと思っています。

人間は採集狩猟動物だから、自分の子どもが生きものに触れることができなかったらこの先、生きていけないでしょ。だから、母は本能的に触らせようとすると思うんです。 

 でもひとつだけ気をつけないといないことは、安全配慮は忘れないというとですね。ハチに刺されるとか、大けがをするとか、毒が入るとか、ばい菌が入って腫れちゃうとかは、避けるような配慮が必要です。 つまり、幼児が自然の中で安全で楽しく、気持ちよく過ごせる場づくりと、自然のなかでの発見を肯定してあげる大人の存在がとても大切です。」