とことん!石川流域のドジョウ
みなさんドジョウという魚を知っていますか?私はTokoTokoで活動して,普段はとある高校の科学部でドジョウの研究をしています。そんな私が石川流域のドジョウをとことん解説します!
石川の流域には主にドジョウとオオシマドジョウの2種類のドジョウが生息します.今回は,それらについて紹介します.
Ⅰ 2種の外見
1)ドジョウの外見
ドジョウは,比較的口ひげが長く,尾びれが丸いです.ひげは,左右5本ずつの10本です.模様は,斑点状のものや色の薄いものなど不規則でさまざまあります.体の長さは,80~200mmです.
2)オオシマドジョウの外見
オオシマドジョウは,口ひげが短く,尾びれはまっすぐに切り落としたようになっています.ひげは,左右3本ずつの6本ずつです.模様は,楕円状の斑紋列が規則的に並びます.尾びれの付け根の黒点は,はっきりしていて上下つながります.
3)雌雄の違い
ドジョウ・オオシマドジョウどちらも共通して,オス(右)は,胸ヒレの先端が尖ります.メス(左)は,胸ヒレの先端は尖らず,丸くなります.また,メスのほうが体のサイズは大きくなりやすいです.産卵期のオスは,背ビレ付近が膨らみます.
4)動画でみる
シマドジョウ
ドジョウ
Ⅱ 2種の一生
1) ドジョウの生態
ドジョウは,大阪府を含め日本列島に分布し,水路や田んぼなどの水が止まっている環境を好みます.産卵のときは,水田や湿地に移動してオスがメスに巻き付きます.冬になると水路や田んぼの水がなくなりますが,ドジョウは泥の中に潜って皮膚呼吸という特殊な呼吸法を用いて生存することができます.寿命は,1~2年と短いです.
2) オオシマドジョウの生態
オオシマドジョウは,主に石川などの瀬戸内海に注ぐ川に生息します.オオシマドジョウは,河川中流域の流れがあり,植物が生えている水際を好みます.生態はあまりわかっていませんが,2年以上生きることが知られています.
Ⅲ 採取のコツと注意すること
1) ドジョウについて
ドジョウは,町中を流れる水路や,河川敷にながれてある水路に生息します.ドジョウは泥の中に潜るので,採取する際,網を固定して,足で泥ごと網の中に入れることがコツです.ドジョウが生息する場所は,底が砂や泥で,アメリカザリガニなどが生息しています.このような水路には,ガラスや空き缶などのゴミが落ちているので,足全体が覆われている靴を履くことをお勧めします.
2) オオシマドジョウについて
オオシマドジョウは,河川中流域の底が砂と石がまざっており,浅いところに生息しています.水が澄んでいれば,砂から顔を出しているオオシマドジョウを見ることができます.オオシマドジョウも同じように砂の中に潜るので,採取する際,網を固定して,足で泥ごと網の中に入れることがコツです.このような場所は,オイカワやタカハヤ,カワヨシノボリ,カマツカなど多くの魚を採取することができます.採取の時は,流れの激しいところや水が深いところにはいかないようにしましょう.
Ⅳ ドジョウのお話
1) ドジョウの呼吸法
ドジョウは,水路や田んぼなどいつ水がかれてもおかしくない環境に生息しています.そのため,エラ呼吸にくわえて腸呼吸と皮膚呼吸という呼吸法を持っています.腸呼吸は,空中の空気を飲み込んで,腸の壁でガス交換をして,余った空気を肛門から排出します.肛門から空気が排出されるため,「ドジョウのおなら」と呼ばれることがありますが,排出された空気はにおいません.皮膚呼吸は,体の表面でガス交換をすることです.この呼吸のおかげで,水のないところでも生存することができます.
2) ドジョウの外来種問題
最近,オオクチバスやブルーギルなどの外来種問題が話題となっています.ドジョウの仲間にも,カラドジョウとヒメドジョウという外来種が日本に侵入しています.どちらも,石川流域では確認されていません.しかし,最近の研究で大阪府のほとんどのドジョウは,中国大陸由来のドジョウあるいは在来のドジョウと中国大陸のドジョウが交雑したものであることがわかりました.
Ⅴ 飼育の仕方
ドジョウもオオシマドジョウも,砂の中に潜るので,砂を水槽に5cmほどいれるとよいです.また,雑食なのでなんでも食べますが,沈下性の餌や冷凍アカムシがお勧めです.どちらも,水槽から飛び出そうとジャンプをするので,水槽に入れる水は少なめで,蓋を用意するようにしましょう.
▼生きものの飼育は方法はイラスト図鑑で!▼
過去の記事
Ⅵ 参考文献
参考にした文献です.もっと知りたい人や興味のある人は読んでみてはどうでしょうか.
中島淳・内山りゅう.2017.日本のドジョウ.山と渓谷社.東京.
大阪市立自然史博物館.2020.知るからはじめる外来生物
~未来へつなぐ地域の自然~.大阪市立自然史博物館.大阪
細谷和海.2019.増補改訂 日本の淡水魚.山と渓谷社.東京
奥川陽平・櫻井哲平.2020.ドジョウが水田で生息できる理由.足もとの自然史Jrジャーナルvol3.大阪
松井彰子・中島 淳.2020.大阪府におけるドジョウの在来および外来系統の分布と形態的特徴にもとづく系統判別法の検討.大阪市立自然史博物館研究報告,74号
0コメント