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カタツムリ特集!





カタツムリの基本!


●カタツムリ(陸産貝類)とは

 カタツムリは分類学上、タコやイカなどと同じ軟体動物に属しており、その中でも腹足類(巻貝類)に含まれています。その中でも川や海などの水中ではなく陸上を主な生息場所とする巻貝類の総称が「陸産貝類」であり、広い意味でカタツムリ類と呼ばれます。一般的にはカタツムリ(蝸牛)やマイマイ、デンデンムシなどの愛称があり、身近な生き物として古くから人々に親しまれていることが伺えます。一見、殻を持たないナメクジも実はカタツムリの仲間であり、背中には薄い殻の名残が残っている種もいます。私たちが普段目にするカタツムリ類はいずれも目につきやすい大型な数種類くらいですが、非常に小さな種や特殊な生活環境をもつ種類もおり、日本全国にはおよそ800種類以上が生息しています。



 ●カタツムリはどこにいるの? 

陸上で生活しているとはいえ、元々は水生由来の軟体動物であるため、乾燥に非常に弱く生きていくためには常時水分の補給が必要になります。乾燥を防ぐためにカタツムリたちは体をヌメヌメの粘液で覆っており、粘液の機能を維持するために湿潤な場所に生息しています。私たちが住むここ日本では四季のおかげで湿潤な環境が適度に維持されており、カタツムリたちにとっては住みやすい環境といえます。また、島国であることやカタツムリ自体が移動能力に乏しいことなどから地殻変動などによる地理的な隔離や環境変化の影響を受けやすく、その場所の環境に適応した固有種や特産亜種が多く生まれやすいという傾向もあります。そのため、石灰岩地帯や海水が適度にかかる場所など一風変わった環境でのみ見られる種なども存在します。

基本的に多くのカタツムリが好む生息環境は

①適度な湿度のある環境
②餌となる物がある環境
③隠れ家などに利用できる多様な植物や落ち葉などの堆積物がある環境
④日光が適度に射す環境

これらが合致する環境としては雑木林などの二次林や社寺林、人家のある里山環境などが良いとされています。一部特殊な環境に住むものの多くは私たち人と比較的近しい環境で生活している隣人みたいなものですね。


 ●カタツムリは何を食べるの? 

カタツムリには歯舌と呼ばれる特殊な歯があり、多くは舐め摂るようにして餌を食べます。多くのカタツムリは植物食の強い雑食性であり、植物の葉っぱや落ち葉などを食べています。そのほか、植物などに付いた菌類を食べたり、ほかのカタツムリ類などを食べる肉食性の種などもいます。また、カタツムリは殻の養分となるカルシウムを摂るためにコンクリートなどの人工物にもよく現れます。


 ●カタツムリってどうやって増えるの? 

カタツムリの面白い生態として有名なのが、その繁殖方法。一部例外もいますが、多くのカタツムリ類は雌雄同体です。単為生殖ではないため繁殖相手は必要ですが、雌も雄も両方の機能を兼ね備えています。基本的にはお互いに精子の入った袋を交換しあうことで両方が受精し卵を産むことができるようになります。一部の種には恋矢と呼ばれる生殖器官をお互いに突き刺しあうことで精子を交換する種もいますが、なんとこの方法は命の危険があるのだとか。次の命を残すためには命がけなんですね。


 ●カタツムリと人 

カタツムリは古くから私たち人の身近な生き物として認識されてきました。古くは主に食糧としての利用で、今でも食用のエスカルゴなんかが有名です。もちろん、野生のカタツムリだって貝類なので食べようと思えば食べれます。日本では一部で信仰の対象にもなっていたほか、有名な童謡などにも出てくるなど人々が目にする機会の多い身近な存在だったのでしょう。一方で、カタツムリはしばしば害虫として扱われることもあります。多くのカタツムリは食植性が強いので畑などに侵入して野菜などの作物を食べることから度々駆除されています。とくにナメクジ類なんかが有名ですね。また、カタツムリをはじめとした軟体動物は体内に寄生虫を宿していることも多く、生で食べた人が寄生虫に寄生されて死亡した事例も少なくありません。


もちろん、素手で触ったり、カタツムリたちがいた作物の葉っぱなどを食べたりすることで感染することもあります。なのでカタツムリを触った後は必ず手をしっかり洗いましょう。 


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カタツムリを食べる生きもの!

【参考・引用文献】 松村勲(2001).大阪府陸産貝類誌.近未来社.294pp. 武田晋一・西造孝(2015).カタツムリハンドブック.文一総合出版.128pp.